離婚条件を決めるのを先延ばしにするのも手

離婚するにあたって決めるべき諸々の条件を、離婚条件といいます。

具体的には、「親権はどちらにするのか」、「養育費はいくらずつ払うのか」、「慰謝料をいつ、いくら、払うのか」といった内容です。

裁判所を通さずに協議離婚する場合、離婚条件はいわゆる離婚協議書にまとめます。家庭裁判所の調停で離婚する場合は、調停調書に離婚条件が記載されます。

離婚条件には、上記に挙げたもの以外にも典型的なものだけでも、さらにいくつかあります。ただ、離婚条件のすべてを離婚と同時に決めなければならないものではありません。離婚と同時に決めなければならないのもの、同時に決めなくてもよいもの、同時に決めなくてもよいもののうち、男側からすると、多くの場合、後回しでもかまわないものもあります。

女側からすると、離婚条件の大半は離婚と同時に決めることがよいものが多いといえます。それゆえ、多くの離婚に関するアドバイスでは、すべてを同時に決めることを推奨しています。ただ、これは男側からすると、必ずしも上策とは言えないこともあります。

1.親権

これは、離婚と同時に決めなければなりません。

2.養育費

離婚と同時に決める必要はありません。

男側からすれば、養育費の額でもめながら、離婚が長引くよりも養育費の額は後日決めることにして、離婚を成立させてしまったほうがよいといえます。養育費で過大な約束をしてしまうと、あとあと大変で救済も極めて難しくなるので、無理な養育費を要求してきた場合は、安易に妥協することなく、相手が妥協するまで離婚に応じないか養育費は後日決めることにして離婚を先行させることがおすすめです。

なお、養育費を後日決める場合の手続きは、(交渉→)家庭裁判所での調停→家庭裁判所での審判という流れになります。

3.面会交流

離婚と同時に決める必要はありません。

ただし、面会交流についての取り決めは、男側からすれば、離婚と同時に決めることをお勧めします(なお、親権は母親側がとる場合を前提にしています)。親権を母親に渡して、離婚したのちに面会交流を持ち出しても、抵抗されることが珍しくありません。ですから、親権渡すのはきっちりとした面会交流の取り決めと引き換えにすることが肝要です。

なお、面会交流を後日決める場合の手続きは、(交渉→)家庭裁判所での調停→家庭裁判所での審判という流れになります。

4.慰謝料

離婚と同時に決める必要はありません。

自分が慰謝料を払う側にしろ、払ってもらう側にしろ、多くの場合、これだけで長引くのであれば離婚を先行させたほうがよいです。男側からすると、離婚までは妻の生活費まで支払う必要がありますが、離婚成立後は子の生活費だけですみます。ですから、離婚成立が長引くほど、金銭的な負担は大きくなることが多いです。
慰謝料額の多少の差は離婚が長引くことによって、消えてしまいますので、慰謝料は後日決めることにして、離婚を先行させることも考えることをおすすめします。

なお、慰謝料を後日決める場合の手続きは、(交渉→)地方裁判所での訴訟という流れになります。

5.財産分与

離婚と同時に決める必要がありません。

財産分与は多くの場合、男側が支払うことになります。ただ、財産分与で財産隠し等でもめだした場合、離婚協議、調停等が長期化することが多いです。離婚が長期化すればするほど、男側の婚姻費用の負担は大きくなりますので、離婚を先行させて、財産分与については後日決めるということも考える必要があります。

なお、財産分与を後日決める場合の手続きは、(交渉→)家庭裁判所での調停→家庭裁判所での審判という流れになります。

なお、いずれの場合も、離婚に関することはすべて決着がついた、と離婚協議書なり離婚調書なりに記載されてしまうと、後日、別途要求することができなくなってしまう可能性があります。そのほうが有利な場合もありますが、不利な場合もあります。ですから、そのような条項の有無については、慎重に判断する必要があります。

弁護士紹介

弁護士 水野 泰之
マイタウン法律事務所所属弁護士。男性の離婚事件を数多く扱う。

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