離婚原因の実務運用の問題点2(有責配偶者が浮気に限定)

現状の離婚に関する実務の運用の問題点を指摘します。問題がある以上、将来的には変化することが期待されます。問題点を指摘していかないと変化は起こりません。また、思わず早期に変化の利益を享受できるかもしれません。納得がいった方は是非、主張していってください。

離婚原因について、現状の裁判所の一般的な運用について、問題点は多々ありますが、今回は有責配偶者の離婚請求の理屈が浮気に限定されていることについてです。

離婚原因というのは、相手が離婚を拒否しても裁判所が離婚を認めてくれる事情です。たとえば、不貞(≒浮気)は離婚原因なので、相手が浮気をした場合、相手が離婚を拒否しても、離婚裁判になれば離婚は認められます。浮気に限らず、夫婦関係がやりなおす余地がないほど壊れていることも離婚原因です。なので、そのような状況になっていたら、裁判上離婚原因は認められることになります。

ただ、浮気をした側が離婚を求めても、離婚は認めないというのが有責配偶者の離婚請求と言われるものです。夫婦関係を壊した有責配偶者の離婚請求は、正義とか信義の観点から認めないという理屈です。自分で夫婦関係を壊しておいて、夫婦関係が壊れてやり直す余地がないから、離婚を認めてください、という都合のよい発想は通らないということです。
有責配偶者の離婚請求を認めないというのは、大筋、問題がない発想です。

ところが、現在の裁判実務上、有責配偶者というのは、浮気配偶者に限定されていて、それ以外の場合には、この理屈を認めようとしません。

典型的なのは、子連れ別居の強行です。夫が家に帰ってきたら、もぬけのカラで、妻は子どもを連れて突然別居。家庭裁判所から、離婚を求める調停の通知が・・・というパターンです。

このような場合、最終的に夫婦関係がやり直す余地がないほど壊れたとしたら、その原因は明らかに別居の強行にあります。どこからどうみても妻は有責配偶者なのですが、このような事案で有責配偶者の理屈を当てはめる裁判例はほとんどありません(当事務所の事案で、理由の中でそのようなことを書いてくれた判決はありました)。

このような事案で離婚を認めてしまうことは、先ほど述べた「自分で夫婦関係を壊しておいて、夫婦関係がやり直す余地がないから、離婚を認めてください」という都合のよい発想が通ってしまうことになります。このような事案で、男性の依頼者や相談者が「納得がいかない」「それでは結婚制度の意味がない」と嘆く声が、当事務所のみならず、多くの法律相談の場で存在します。

実務上、有責配偶者になるかならないかというのは次のような違いがあります。

  • 有責配偶者でない→3~5年の別居があれば離婚原因が認められる。
  • 有責配偶者である→7年以上の別居が必要。

もちろん、上記の扱いもどうにも不合理というものではなく、性格の不一致等でどうしても離婚したい場合、どのようにすればよいか法律上規定がなく、実際には
別居開始→3~5年別居継続→離婚原因
という流れが、様々な考慮要素の妥協の産物として定着しています。このような場合に、有責配偶者の理屈を適用して、この別居期間を7年にすべしという合理性もないように思います。

とはいえ、浮気事案では実情を詳細に検討することもなく形式的に有責配偶者の法理を持ち出す反面、同様に有責性が高い子連れ別居の問題については、全く有責性を問題にしないというのは明らかに論理的な一貫性を欠いているし、バランスも欠いているように思えます。

弁護士紹介
弁護士大倉りえ弁護士 大倉 りえ
マイタウン法律事務所大阪事務所所長弁護士。男性・女性の離婚事件を数多く扱う。
相談可能場所:大阪(梅田)

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