不倫相手に対する離婚慰謝料に関して、最高裁判決が出ました(最高裁第三小法廷平成31年2月19日判決)。
判決内容をざっくり言えば、「原則、不倫相手に対しては、離婚慰謝料を請求することはできない」というものです。
不倫に関連する慰謝料については、①不貞慰謝料と②離婚慰謝料があります。
①不貞慰謝料は、不倫によって婚姻共同生活の平和を害されたことに対する慰謝料です。
②離婚慰謝料は、他方配偶者の有責行為により離婚をやむなくされたことに対する慰謝料です。「有責行為」の中身は、不倫であったり、暴力であったり、モラハラであったり、事案により様々です。
配偶者が不倫をした場合、他方配偶者は、不倫をした配偶者に対して、①不貞慰謝料を請求することができます。また、不倫が原因で離婚に至った場合には、②離婚慰謝料を請求することができます。
さらに、他方配偶者は、不倫相手に対しても、①不貞慰謝料を請求することができます。ここまでは、これまでも判例上認められていました(最二小判昭和54年3月30日 等)。
では、不倫相手に対して②離婚慰謝料を請求できるのか?
今回の最高裁判決は、これに対する見解を示したものになります。
最高裁は、 「原則、不倫相手に対しては、②離婚慰謝料を請求することはできない」 と判断しました。
この最高裁判決を受け、最も注意すべきは、不貞相手に対して慰謝料請求をする場合の時効です。
不貞慰謝料の時効は、不倫を知ったときから3年です(離婚慰謝料の場合は、離婚から3年)。
不倫相手に慰謝料請求をするのであれば、3年以内に行動しましょう。
弁護士紹介
弁護士 戸谷 彰吾
マイタウン法律事務所の所長弁護士。男性の離婚事件を数多く扱う。