【弁護士なしで調停に臨む方へ】後悔しないための「3つの鉄則」

離婚調停、婚姻費用調停、面会交流調停——。
弁護士に依頼するのが最善と分かっていても、様々な事情から「自分だけで出席しよう」と決意する方も少なくありません。

しかし、十分な準備と覚悟なしに臨むと、調停委員や相手方のペースにのまれ、その場の雰囲気に流されて、気づけばご自身にとって不利な内容で合意してしまっていた…という事態に陥りかねません。

この記事では、ご自身で調停に臨むと決めたあなたが、後悔しないために固く守るべき「3つの鉄則」を解説します。

  1. 想定問答を作る
  2. 「譲歩の最終ライン」を事前に固く決めておく
  3. 「良い人」であろうとしない覚悟を持つ

1.想定問答を作る

特に、聞かれたらうまく答えられない点について、どのように答えるか準備する必要があります。

【具体的な準備】
事前に「何を聞かれそうか」「それに対してどう答えるか」を客観的に書き出し、冷静に返答できるようシミュレーションしておきましょう。

もし上手い答え方が見つからない場合は、弁護士に正式に依頼はしなくても、法律相談を利用して「この点について、どう答えれば不利にならないか」だけアドバイスをもらうのも非常に有効な手段です。

2.「譲歩の最終ライン」を事前に固く決めておく

調停室の独特の雰囲気の中では、「早く終わらせたい」「ここで断ったら話が進まないのでは」というプレッシャーから、安易に譲歩してしまいがちです。

しかし、その場で交わした合意は、あなたのその後の人生に長期間影響を及ぼします。

【具体的な準備】
事前に「財産分与はここまで」「養育費はこの金額まで」といった、「これ以上は絶対に譲れない」という最終ラインを明確に決めておきましょう。

もちろん、調停の長期化によるデメリット(特に男性の場合は婚姻費用の支払い期間が延びるなど)も存在します。その「早期解決のメリット」も天秤にかけた上で、現実的な最終ラインを設定することが重要です。

3.「良い人」であろうとしない覚悟を持つ

「常識がないと思われたくない」「欲張りだと思われたくない」

こうした感情は誰にでもありますが、調停の場ではご自身の首を絞める足かせになり得ます。相手や調停委員の顔色をうかがい、本来譲る必要のない部分まで過剰に譲歩してしまうケースは珍しくありません。

【具体的な心構え】
少しうしろめたさを感じても、事前に決めた「想定問答」や「譲歩しないライン」は毅然として守り抜く覚悟が必要です。

もしその場で判断に迷ったら、その場では決めず、「一度持ち帰って検討します」と伝え、次回の期日で回答すれば良いのです。不利な状況での安易な即決は絶対に避けましょう。

最後に:一人で戦うことの厳しさ

これだけの準備をしても、一人で調停に臨むことの精神的負担は計り知れません。実際に、調停の途中から弁護士に依頼された方の多くが、こうおっしゃいます。

「一人で悪者扱いされているようで精神的に限界でしたが、味方がいるだけで本当に楽になりました」

「弁護士が入った途端、それまで高圧的だった調停委員の態度が明らかに丁寧になりました」

これは、第三者の視点から見ても、一人で対応することがいかに過酷であるかを示しています。

もし、この記事を読んで「自分一人で準備し、冷静に対応し続けるのは難しいかもしれない」と感じたら、無理をせず、一度専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士小林芳郎

【弁護士紹介】
弁護士 小林芳郎

新横浜事務所所長弁護士。商社営業で培ったタフな交渉力を武器に、スピーディーな解決にこだわります。効率的なアプローチで、最短の道のりを提案。
相談可能場所:新横浜

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