離婚調停はどう進むのか

離婚基礎知識

離婚調停は非公開の裁判手続ですので、経験者以外には、ブラックボックスな領域です。

そこで、今回は、離婚に関する裁判手続のうち、「離婚調停(正式には「夫婦関係調整調停」)について説明します。

離婚調停の申立て方法

離婚調停の申立て方法は、裁判所のホームページに詳しいので、ここでは概要にとどめます。

申立てに必要な書類

申立書(家庭裁判所の窓口やホームページで入手できます。)、戸籍謄本、年金分割にかかる情報通知書など。

申立て費用

収入印紙1,200円、その他郵便切手など。

申立て場所

原則、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。
例えば、あなたが横浜市に住んでいて、妻が大阪市に住んでいるとしましょう。あなたが離婚調停を申し立てる場合は、妻が相手方となるので、離婚調停の申立て場所は大阪家庭裁判所になります。逆に、妻が離婚調停を申し立てる場合は、あなたが相手方となるので、離婚調停の申立て場所は横浜家庭裁判所になります。

また、裁判所には、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所、高等裁判所等々、いろいろな裁判所があります。離婚調停を管轄するのは、家庭裁判所ですので、間違えないように申し立てましょう。

申立て~第1回調停までの流れ

離婚調停申立てから第1回調停までの大まかな流れは以下のようになります。

申し立て~第1回調停
  • 申し立て
    家庭裁判所に申し立て

  • 約1週間後
    裁判所から申立人に連絡

    裁判所から申立人に、第1回調停日の日程調整の連絡があります。

  • 約2週間後
    裁判所から相手方に通知
    裁判所から相手方に、郵便が届きます。郵便には、期日通知書(第1回調停の日時の連絡)のほかに、申立人作成の申立書、答弁書や事情説明書のひな形などが同封されています。
    第1回調停の日程は、相手方の都合を考慮することなく決められています。第1回調停に出席できない場合は、事前に裁判所に連絡をしましょう。
  • 約1か月後
    第1回調停
    第1回調停では、離婚意思の有無や夫婦が不仲になった経緯などを聞かれることが多いので、可能であれば時系列表にまとめておく等の準備をしておきましょう。

離婚調停はどのように進むのか

離婚調停の登場人物

離婚調停には、以下の人々が関与します。

  • 申立人(調停を申し立てた人)
  • 申立人の代理人弁護士(申立人が弁護士を雇った場合)
  • 相手方(調停を申し立てられた人)
  • 相手方の代理人弁護士(相手方が弁護士を雇った場合)
  • 調停委員2名(男性・女性各1名)
  • 調査官(夫婦間に未成年の子がいる場合に関与することがあります。)
  • 裁判官
  • 書記官

裁判官書記官は、あまり調停の場には出てきません。調停の要所要所や、調停の成立・不成立時に姿を現します。

離婚調停であなたが接するのは、主に調停委員(と場合によっては調査官ということになります。

調停の頻度・時間・期間 等

調停は、1回につき約2時間月1回程度の頻度で開催されます。調停は、平日の日中しか開催されませんので、お仕事のある方は仕事を休むなどの対処が必要です。

調停は、離婚が成立するか、もしくは成立しない見通しが立つまで行われます。事案によって異なりますが、短くて3か月程度、長いと2年程度調停が続くこともあります。

Q
調停には出席しなければいけませんか?
A

原則、出席してください。

調停を行う裁判所が遠い場合など(先ほどの例のように、横浜に住んでいる人が大阪家庭裁判所に行かなければならない場合など)には、電話で調停に参加できる手続電話会議もありますので、裁判所に相談してみましょう。

ただし、その場合でも、離婚調停の成立時には、原則調停への出席が必要です。

離婚調停の進みかた

離婚調停は、調停委員を間に挟んで行う話し合いの手続きです。概ね、以下のような流れで進みます。

第1回調停
  • 調停委員が、申立人と相手方に対して、調停手続の説明を行う。
  • 調停委員が、申立人から話を聞く(目安30分)。この間、相手方は待合室で待機。
  • 相手方から話を聞く(目安30分)。この間、申立人は待合室で待機。
  • ②と③をもう一度繰り返し、次回調停の日程調整をする。
  • 調停委員が、申立人と相手方に対して、調停で話し合われた内容の確認と、次回調停までの進行の確認を行う。

①と⑤は、行わない場合もあります。

第2回以降の調停
  • 調停委員が、申立人と相手方に対して、その日の調停で話し合うべき内容の確認を行う。
  • 調停委員が、申立人と相手方から交互に話を聞く(それぞれ30分程度)
  • 次回調停の日程調整をする。
  • 調停委員が、申立人と相手方に対して、調停で話し合われた内容の確認と、次回調停までの進行の確認を行う。

①と④は、行わない場合もあります。

調停が成立する場合、または不成立になる場合は、③と④は行われません。裁判官が合意内容を読み上げ(成立の場合)、または不成立で終了することを確認(不成立の場合)して終わります。

Q
調停の時には、妻と顔を合わせますか?
A

夫婦が顔を合わせることはありません。

調停では、夫と妻が交互に調停室に入り、調停委員に話をします。

しかし、調停成立時の調書の読み上げなど、一部、双方同席を求められる手続もあります。この場合でも、DVなどの事情があるときは、裁判所にその旨伝えれば、妻と顔を合わせないよう配慮をしてもらえます。

もっとも、裁判所の中や駐車場でバッタリ会ってしまう、ということはありますので、その点は注意してください。

調停の終わり方

調停の終わり方には、大きく分けて以下3つの終わり方があります。

  • 成立
    離婚の話し合いがまとまった場合は、調停成立(離婚成立)で終了します。
  • 不成立
    離婚の話し合いがまとまらない場合は、調停不成立(離婚不成立)で終了します。
  • 取下げ
    申立人が調停を取下げた場合も、調停は終了します。取下げ理由に特に制限はありません。

調停成立で終われば、その後は離婚届を提出するなどの手続きを進めていくことになります。

調停不成立で終わった場合は、現状維持か、離婚裁判に移行するのか、進め方を検討する必要があります。

弁護士紹介

弁護士 戸谷 彰吾
マイタウン法律事務所の所長弁護士。男性の離婚事件を数多く扱う。

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