こちらが積極的に離婚したくて行動する場合にしろ、妻側が弁護士に依頼したり調停申立てをしてきた場合にしろ、ある程度離婚がスムーズにいかなさそうな場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に相談したからといって依頼しなければならないわけではありません。ですから、弁護士への依頼を含めて、今後こちらが取りうる手段のバリエーションを把握する上でも法律相談の利用価値は高いといえます。
ただ、その場合に注意すべきことがあります。それは、「ろくな回答が出てこないこと」を覚悟すべきということです。
現状の離婚手続の実務は、かなりの程度、男側に不利です。その内容は、多くの人の常識的な解決イメージからかけ離れている可能性があります。
ですから、「ろくな回答が出てこないこと」に対する覚悟なく法律相談を受けると、「この弁護士は経験が少ないのではないか」、「この弁護士は常識が欠落しているのではないか」、「この弁護士はやる気がなくて、わざと否定的なことばかり言っているのではないか」という疑念に心を奪われかねません。
Q.妻がたいした理由もなく一方的に離婚を要求して別居を強行した。こんなこと許されるのか。
→A.妻を連れ戻す方法はなく、最終的には離婚になるでしょう。
Q.妻が子連れ別居を強行して、子どもに会わせてくれない。子どもの面倒はほとんど自分が見ていたのに。
→A.親権は難しいので、月1回の面会交流で我慢しましょう。
Q.自分は高額の所得があるので、相当程度の財産を形成した。妻は浪費するばかりでなんの貢献もない。
→A.妻にも半額の権利がありますので、しっかり財産分与をする必要があります。
Q.妻が浮気をしたので離婚したい。
→A.離婚できますが、子どもに会えなくなり、経済的にも困窮するでしょう。
など、きりがないくらい、相談者の常識感からすると許容し難い結論の例を上げることができます。
確かに、多くの弁護士が現状の実務にどっぷりつかってしまっていて、その不合理さに対する批判意識がないことが多いと言えます。ですが、大半の弁護士がそういう状況で、その中から自分の味方を見つけなければならないわけですから、しっかり覚悟をして、冷静に対応するのが上策といえます。
その上で、「現状の実務を前提にした上で、できるだけ自分の利益を図っていく方策」と「不合理な実務を変えていくつもりで、言うべきことをきっちり主張すべき方策」についてご自身のスタンスをきっちりと考えて、そのスタンスにあった弁護士を探していくことが肝要になります。
弁護士紹介
弁護士 溝口 歩実
マイタウン法律事務所所属弁護士。男性・女性の離婚事件を数多く扱う。