親権者を決める基準

夫婦の間に未成年の子がいる場合、離婚後の親権者をどちらかに決めなければ、離婚をすることはできません(離婚後の単独親権)。

親権者を決めるにあたっては、まずは夫婦間で話し合い、話し合いで決められなければ、裁判で決めることになります。

夫婦間の話し合いで決める場合には、親権者の決め方について、特に決まったルールはありません。夫婦の意見が合致すればOKです。

問題は、夫婦間で話し合いがつかず、裁判で決める場合です。
裁判所は、どのような基準で親権者を決めるのでしょうか。

たとえば、あなたなら、見知らぬ人から、「僕と妻と、どちらが子どもの親権者にふさわしいか決めてくれないか」と頼まれた場合、どのように親権者を決めますか?
親権者になりたい気持ちが強い方?経済力がある方?子どもが一緒に住みたいと言った方?家事がきちんとできる方?
…なかなか難しい問題です。

このとても難しい問題の解決に当たって、最近の裁判所が重視する判断要素は、「主たる監護者」という基準です。

もちろん、当事者の意欲や経済力、家事・育児能力、生活環境、子どもの意思等も考慮されますが、「子どもの身の回りの世話や家事を主にやっていたこと」が重視される傾向にあります。

「母親優先」といった、性別を理由とした親権者判断は、(表面的には)減少傾向にある印象ですが、女性が家事・育児を負担している割合が多い日本の家庭状況においては、「主たる監護者」基準によっても、女性が親権者に指定されることが多くなっています。

現在の日本の裁判所の判断基準に則った上で、男側が親権を勝ち取るのであれば、客観的にも「夫が子どもの主たる監護者だ」といえるだけの家事・育児負担が必要であるといえるでしょう。

最近、離婚後も共同親権にすべきではないかという話が挙がっています。
離婚後の共同親権が導入されれば、上記のような「親権争い」はなくなります。しかし、共同親権になったとしても、離婚後に主に子どもと生活できる(監護者)のは父母のどちらかになります。
そのため、今後共同親権が導入された場合は、上記の「親権争い」が「監護権争い」にスライドしていくことが予想されます。

弁護士伊藤未知人

弁護士 伊藤 未知人
マイタウン法律事務所所属弁護士。男性の離婚事件を数多く扱う。
相談可能場所:二俣川金沢文庫茅ヶ崎青葉台新横浜東京

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