離婚を弁護士に相談する前に知っておくべき「不都合な真実」

こちらが積極的に離婚したくて行動する場合にしろ、妻側が弁護士に依頼したり調停申立てをしてきた場合にしろ、ある程度離婚がスムーズにいかなさそうな場合は、弁護士に相談することをお勧めします。

相談したからといって、必ず依頼しなければならないわけではありません。まずは専門家から客観的な見通しを聞き、ご自身が取りうる選択肢の幅広さを知るだけでも、今後の戦略を立てる上で非常に有益です。

しかし、その法律相談を本当に意味のあるものにするためには、一つ、重要な心構えが必要になります。

相談前にすべき覚悟:「期待通りの回答」はまず得られない

結論から申し上げると、弁護士相談の場で「あなたが期待するような、常識的で納得のいく回答は、まず出てこない」という覚悟をしておくべきです。

なぜなら、現在の離婚実務(特に家庭裁判所の判断傾向)は、残念ながら多くの点で男性側に不利な内容になりやすく、その結論は、一般的な社会常識や正義感から大きくかけ離れている可能性が高いからです。

この覚悟がないまま相談に臨むと、弁護士から厳しい見通しを告げられた際に、「この弁護士はやる気がないのでは?」「経験不足で、わざと否定的なことばかり言うのではないか?」といった疑念ばかりが募り、冷静な判断ができなくなってしまいます。

【相談事例】男性が直面する「厳しい現実」の例

あなたの常識では受け入れがたいかもしれない、法律相談でよくある問答の例を挙げます。

Q
妻がたいした理由もなく一方的に離婚を要求し、家を出て行った。こんな理不尽が許されるのか?
A

妻を連れ戻す方法はなく、最終的には離婚になるでしょう。

Q
妻が子連れ別居を強行して、子どもに会わせてくれない。子どもの面倒はほとんど自分が見ていたのに。
A

一度連れ去られてしまうと、親権の獲得は困難です。面会交流も相手の協力なしにはスムーズに実現できず、苦労します。

Q
自分は高額の所得があるので、相当程度の財産を形成した。妻は浪費するばかりでなんの貢献もない。
A

妻にも半額の権利がありますので、しっかり財産分与をする必要があります。

Q
妻が浮気をしたので離婚したい。
A

離婚できますが、子どもに会えなくなり、経済的にも困窮するでしょう。

では、どうすればいいのか?

これらの回答は、弁護士が冷たいからでも、無能だからでもありません。これが、今の日本の離婚実務における「現実」なのです。

この厳しい現実をまず冷静に受け止めた上で、ご自身のスタンスを明確にすることが重要です。

  1. 現実路線: 今の実務を前提とし、そのルールの中で可能な限り自分の利益を最大化する方策を探る。
  2. 徹底抗戦路線: 不合理な実務はおかしいと割り切り、時間や費用がかかることを覚悟の上で、言うべきことを徹底的に主張して戦う。

ご自身がどちらのスタンスで臨むのかを決め、その方針に共感し、実現に向けて共に戦ってくれる弁護士を探すこと。それが、後悔しない離婚への最も重要な第一歩となります。

弁護士溝口歩実

【弁護士紹介】
弁護士 溝口歩実

「困った人を放っておけない」という温かい人柄が魅力。依頼者の悩みに親身に寄り添い、丁寧なヒアリングを重ねて満足のいく解決を目指します。離婚などの家事事件を多く手掛けてきた経験も豊富。


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