妻から離婚を求められたとき、予想通りなのか、全く想定外だったのか、様々な場合があると思います。とはいえ、すべてを後回しにしたり、流れにまかせることがよいとは限りません。
ここでは、妻から離婚を求められたときに、考えるべき3つのことについて書きます。
自分も離婚を望むのか
まず、当たり前ですが、自分も離婚を望むのかを考える必要があります。
もし、こちらも離婚を望んでいるのであれば、あとは離婚条件(主にお金と子供のこと)を考えていくことになります。
離婚を望まない場合は、さらに「本気でよりを戻す意思と気力があるのかどうか」を考える必要があります
言いたいことやプライドを我慢し、最終的に離婚になってしまった場合に不利になることも気にせず、全力で妻とよりを戻したい気があるのかどうかです。そこまでの気持ちがあるのであれば、そのような行動をとるべきでしょう。
もし、そこまでの気持ちはなく「妻が謝って戻ってくるべきであり、真摯な謝罪があるのであれば、よりをもどしてもよい」という気持ちであれば、今後の展開を冷静に考えていく必要があります。
別居状況及び離婚になった場合の経済的負担
夫婦が別居した場合、二重生活になるので経済的な負担は大きくなります。
妻が離婚を望み、別居が始まった場合、妻は婚姻費用という生活費費の負担を要求してくることが通常です。この婚姻費用は、夫婦それぞれの収入と子どもの年齢・人数によって額が定型的に決まることが多いので、まずはその負担額を調べます。その状況を踏まえた上で、別居が長期化した場合の当方の負担を予測する必要があります。
さらに離婚になった場合、婚姻費用の負担はなくなりますが、妻が未成年の子どもの親権者となった場合は、養育費の支払いが必要になります。通常、婚姻費用より養育費のほうが安いことが多いので、その面では、離婚したほうが支払いが減ります。
反面で、財産分与や慰謝料の負担が発生することによって、かえって経済的負担が増える状況もあります。
たとえば、自宅をこちらがもらうかわりに、お金を妻に払うような場合です。
この別居のときと、離婚したときの経済的負担を比較し、離婚が長期化することがこちらにとって経済面では不利で早期解決が望ましいのか、むしろ長期化したほうが経済的に有利なのかを見極める必要があります。
裁判上の離婚原因の有無
こちらに浮気・暴力があったり、別居が3年以上続いている場合は、今後、離婚を拒否し続けていても、最終的には裁判所の判断によって離婚になってしまう可能性が高いといえます。反面で、そのような事情がない場合は、最終的に妻の離婚要求を裁判所が認めない可能性が相当程度あります。
離婚原因の裁判上の認定については、事情によりけり・裁判官によりけりで結果は必ずしも明確に予測できるわけではありません。しかし、こちらに浮気・暴力があったり、すでに長期間別居している件とそうでない件では、離婚が認められる可能性が大幅に違います。
予測される最終展開をふまえた上で、今後の方針を考えていくことが大切です。
弁護士 中村 慎司
マイタウン法律事務所所属の弁護士。男性の離婚事件を数多く扱う。