「浮気をしたから慰謝料○○万円を支払え」という内容証明郵便が届いたら、どうすればよいでしょうか?
1.書面の確認
まず、書面の内容を確認します。
請求してきているのは誰でしょうか?通常は、浮気相手の夫ですが、最近はあなたの妻が送り主のこともあります。今回は、浮気相手の夫が送ってきていることを前提に話します。
さて、その書面によれば、あなたが何をしたというのでしょうか?
書面上は、「浮気」ではなく、「不貞行為」とか「婚姻侵害」という言葉が使われているかもしれません。法律上のニュアンスの違いはありますが、概ね「浮気」、つまり異性との肉体関係を示していることが通常です。まったく身に覚えがないのか、当たらずとも遠からずなのか、概ねそのとおりなのか、ということ確認します。
次に、慰謝料はいくら請求してきているでしょうか?
100万だと少ないほう、浮気の慰謝料の内容証明だと300万くらいがありがちなところ、もっと高額な請求をしてくることもあります。
書面の送り主は、浮気相手の夫本人でしょうか?弁護士が代理人でしょうか?弁護士ではなく行政書士の名前が入っているでしょうか?
そんなあたりをチェックします。
2.さて、どうするか
内容を確認した上で、どうするかです。
多くの場合、一度弁護士に法律相談するのがよいといえます。法律相談だけでしたら、1~2万円程度ですみますので、このまま放置でよいのか、自分で対処するとしてどうすべきなのか、解決金の相場観は?、弁護士に依頼した場合どの程度の費用がかかるのか、といったあたりについて情報を入手しておくのがよいといえます。
なお、たいていの内容証明には、支払期日として「本書到達後10日とか1週間以内に支払わないと法的手段をとる」等の記載がありますが、その日を過ぎたら即裁判となることは珍しいといえます。速やかに対応することは肝要ですが、この日数に徹底的にこだわる必要はない場合が多いです。
内容証明の名義が弁護士名義ではなく、かつ記載内容に「まったく身に覚えがない」ような場合は、ほっぽっておくということもひとつの手です。ただし、万が一、裁判所から訴状が届いてしまったら、決して「ほっぽっておいて」はだめなので、しっかり対応する必要があります。
内容証明上の請求金額については、あまり重要でないといえます。調べたり、相談した弁護士等のやり口に沿った額を記載することが多いので、実際の解決金額に対してそれほど影響がないことが多いです。もっとも、たとえば800万円等の高額な請求の場合は、請求している方の怒りがかなり強く、相場額での解決が困難な事案であることもあります。
今後の展開について、身に覚えがある件であれば、ある程度の慰謝料の支払いは覚悟する必要があります。その場合は、裁判になる前に示談で終わらせるのか、自分で交渉するのか、弁護士に依頼するのか。
費用対効果の面からすると、弁護士に依頼するメリットがみえない案件もあります。ただ、「相手にいいようにされて不必要に高額な示談をしてしまうリスク」、「減額を主張できる事情(たとえば、既に離婚慰謝料を受領している等)をきっちり主張できているか」、「慣れない交渉による時間的・精神的ストレスからの解放」といった点も考慮にいれて、考えることをおすすめします。
法律の理屈上の慰謝料額は、相手の結婚生活がどの程度円満だったか、相手が離婚したか・そこまで行ってないか、浮気の期間等によって決まることになっています。
ただ、実際上の示談金額は、どちらが裁判を嫌がっているか、どちらが解決を急いでいるか、こちらが金を持っているか、相手がお金を手に入れることよりもこちらに金銭的ダメージを与えることを優先しているか、等といった事情によって左右されることが多いといえます。
弁護士紹介
弁護士 吉岡 津
マイタウン法律事務所二俣川事務所所長弁護士。男性の離婚事件を数多く扱う。