離婚の際に、養育費の額を定めたとしても、事情が変われば額の変更をすることができます。それは、裁判所の調停や裁判で養育費の支払いを決めたとしても同じことです。
ここでは、離婚後に養育費の額を変更できる典型的なきっかけ3つを説明します。
1.再婚
元妻が再婚し、その再婚相手が子どもと養子縁組した場合、主な養育義務は養親である再婚相手が負担することになります。そこで、養育費の支払い義務がなくなるか、大幅な減額を期待することができます。ですから、元妻が再婚したかどうかは、しっかり把握しておく必要があります。
また、あなたが再婚した場合、その奥さんに対して扶養義務を負うことになります。新たな家庭で生まれた子どもに対しても扶養義務を負うことになります。そこでその負担に応じて、元妻との子どもに対する養育費の減額を求めることができます。
2.前妻の再就職
元妻が無職のときに、無収入であることを前提に養育費を定めた場合、その後元妻が再就職したのであれば、元妻の現在の収入を前提にした養育費の再取り決めを求めることができます。
なお、元妻が無収入でも、将来収入を得る見込みがあることや、働く気になればもらえるはずの給料があることを前提に養育費を決めたのであれば、元妻が再就職しても養育費の減額を求めることはできません。
同じ理由から、元妻の収入が大幅に増加した場合も、養育費の減額を求めることができます。
3.自分の大幅減収や失業
自分の収入が大幅に減少してしまったり、失業によりなくなってしまった場合には、現在の収入に応じた養育費の減額や、養育費の支払い義務の消滅を求めることができます。
養育費は長期にわたるものです。養育費を決めた当時には予測できなかったことがあった場合には、変更することができることを意識しておきましょう。
なお、同じ理由で、あなたが予想外に増収した場合には、養育費の増額を求められることがありますので、注意が必要です。
弁護士 柳下 明生
マイタウン法律事務所離婚主任弁護士。男性の離婚事件を数多く扱う。